> 結城浩の日記 > 2012年8月 | 検索 |
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Webで数式を書くのに MathJaxが良いというので、 黒木先生^H^Hさんの MathJaxの使い方を見て設定しました。
さっそく、数式交じりの文章を書いてみましょう。 文章は Web版「数学ガール」からの抜粋です。
ミルカさんは「ふうん」といって、シャープペンシルをくるっと回した。
「ねえ、パターン探しをしようよ」
* * *
ねえ、パターン探しをしようよ。スタートはこんな式から。 \begin{align*} (1 - x)(1 + x) & = 1\cdot(1 + x) - x\cdot(1 + x) \\ & = (1 + x) - (x + x^2) \\ & = 1 + (x - x) - x^2 \\ & = 1 - x^2 \\ \end{align*} これはさっきの式$(a + b)(a - b) = a^2 - b^2$の特殊な場合だよね。 ここで、式$(1 - x)(1 + x)$の$(1 + x)$を、$(1 + x + x^2)$に代えてみるよ。 これが次の一歩。 \begin{align*} (1 - x)(1 + x + x^2) & = 1\cdot(1 + x + x^2) - x\cdot(1 + x + x^2) \\ & = (1 + x + x^2) - (x + x^2 + x^3) \\ & = 1 + (x - x) + (x^2 - x^2) - x^3 \\ & = 1 - x^3 \end{align*} 要するに、左端と右端だけが残り、 途中の項はすべてプラスとマイナスでばっさり消える。 そう考えると、もう一般化できるね。 $$ \begin{align*} (1 - x)(1 + x) & = 1 - x^2 \\ (1 - x)(1 + x + x^2) & = 1 - x^3 \\ (1 - x)(1 + x + x^2 + x^3) & = 1 - x^4 \\ (1 - x)(1 + x + x^2 + x^3 + x^4) & = 1 - x^5 \\ & \vdots \\ (1 - x)(1 + x + x^2 + x^3 + x^4 + \cdots + x^n) & = 1 - x^{n+1} \\ \end{align*} $$
なかなか楽しいですね。設定はとても簡単。
1. MathJaxを設定するには
HTMLのhead要素に以下のように追加するだけです。
<head ...> ...↓ここから <script type="text/x-mathjax-config"> MathJax.Hub.Config({ tex2jax: { inlineMath: [ ['$','$'], ["\\(","\\)"] ], displayMath: [ ['$$','$$'], ["\\[","\\]"] ] } }); </script> <script type="text/javascript" src="https://cdn.mathjax.org/mathjax/latest/MathJax.js?config=TeX-AMS_HTML"> </script> ...↑ここまで </head>
2. 設定が済んだらHTMLに以下のように$\LaTeX$で書いてみます。
数式を$\sum_{k=1}^{\infty} \frac{1}{k^2} = \frac{\pi^2}{6}$のように書いたり、 別行立てで、 $$ \sum_{k=1}^{\infty} \frac{1}{k^2} = \frac{\pi^2}{6} $$ のように書いたりできる。 式の変形などは、 $$ \begin{align*} (1 - x)(1 + x) & = 1\cdot(1 + x) - x\cdot(1 + x) \\ & = (1 + x) - (x + x^2) \\ & = 1 + (x - x) - x^2 \\ & = 1 - x^2 \\ \end{align*} $$ のように書けばよい。
3. すると、以下のように見えます。
数式を$\sum_{k=1}^{\infty} \frac{1}{k^2} = \frac{\pi^2}{6}$のように書いたり、 別行立てで、 $$ \sum_{k=1}^{\infty} \frac{1}{k^2} = \frac{\pi^2}{6} $$ のように書いたりできる。 式の変形などは、 $$ \begin{align*} (1 - x)(1 + x) & = 1\cdot(1 + x) - x\cdot(1 + x) \\ & = (1 + x) - (x + x^2) \\ & = 1 + (x - x) - x^2 \\ & = 1 - x^2 \\ \end{align*} $$ のように書けばよい。
参考にしたページ
ちなみに、$\LaTeX$を勉強したい方は、奥村先生の本がお勧めです。
ついでに宣伝。 「数学ガール」シリーズは$\LaTeX$で書いています。
Windows 7でGIMPを使っていましたが、 私には高機能すぎたのと操作法がいまひとつなじめなかったので別のレタッチツールを探すことに。 Twitterでフォロワーさんから教えてもらったPaint.NETというツールを使ってみることにしました。
結城から
中学一年生(13歳)の女性から『数学ガール/ガロア理論』の感想をいただきました。 許可を得て公開します。ありがとうございます。
読者さんから
まだまだ幼い中1がすいませんwww。
私はとても数学が好きです。
よく中1にわかるのかって馬鹿にされるけどすきです。
でも内容がわかるのかって言われると正直微妙です。
まだ数IAまでしか勉強していないので難しいです。
でも数学には年齢制限はないと思っているのであきらめずに考えています。
このシリーズは5巻を衝動買いして読んでみたのでまだ全部は読んでいません。
(もちろんこれから読みます)本屋で見たときこれや!!って思いました。
なかなか私が一番尊敬するガロアについて書いてある本が少ないので探していたんです!
読んでみて、ほんとうにおもしろかったです。ガロアと数学がますます好きになりました。
長くなった上自分のことばかりですいません。
私はこれからも数学とこのシリーズを好きでいます。
だから先生も数学をこれからも好きでいてほしいです。
お仕事がんばってください。
これからも期待&応援していきます。
結城から
応援メールをありがとうございます! とてもうれしいです。
ガロアと数学が好きなのですね。 ぜひこれからも広く深く学び続けてくださいね。 あなたに言われたとおり、私も数学を好きでいると思います!
『数学ガール/ガロア理論』は、中学生にはまだ難しいところがあると思いますが、 「おもしろかったです」と思っていただけてよかったです。
あなたのおっしゃるとおり、数学に年齢制限はありません。 遠慮なく、数学にチャレンジして学んで大丈夫ですよ!
もしも勉強している中で、よくわからない部分があっても、 時間をおいて何度か本を繰り返して読むと、少しずつわかるようになっていくと思います。 「数学ガール」シリーズをそうやって読んでいらっしゃる中学生・高校生はたくさんいるようです。
自分の成長を楽しみつつ、学ぶことを味わってくださいね。
あなたのご意見・感想をお送りください。 あなたの一言が大きなはげみとなりますので、どんなことでもどうぞ。