レッシグ教授の『コモンズ』

結城浩

2002年12月3日

レッシグ教授の『コモンズ』(山形浩生訳)を入手。 とりあえず前書きと後書きを読む。なるほど。 無見識にアメリカの後追いをするなと。よく考えろと。 『CODE』の要約まで載せている山形さんの後書きは親切ですね。

『CODE』も『コモンズ』も読みやすい(読みやすそうな)本だけれど、 そこで語られていることをよく理解するのは結構むずかしいのではないか、 と思っている。 微妙な内容を豊富な題材で語っているから、 その一部分を切り出すといろいろ知ったかぶりは書ける(書けそうだ)。 でも本全体を通して語られていることを理解し、自分のものとするには ずいぶん読み込まなければならない、と感じている。 やっぱり、自由とか規制とか権利とか義務とかについては私はよく分かっていないのだな、 と思う。

たとえば、フリーソフトを作る。そのときライセンス条項をどう書けばいいんだろう。 そしてそのライセンス条項は「本当のところは」何を意味しているんだろう。 実は私はよくわかっていないのではないか。と思うね。 ソフトウェアに限らない。こうやってWeb日記を書いて公開するというのは、 いったい何をしていることになるんだろう。 自分の楽しみ。うん、それはそうなんだけど。 何か公開するっていうのはいわゆる「コミュニティ」に何か貢献している (貢献って変だけれど、まあ貢献)のだろう。 で、その話題が『コモンズ』にはたくさん出てくるらしい。それは楽しみである。

単純に「自由オッケー、規制やだやだ」ではなく「規制第一、自由はNG」でもなく、 適切なバランスが必要だという。そして自由を守るために必要な規制…。 うーん。難しい。まあ詳しくは『コモンズ』を読んでからだな。

ところで、『コモンズ』とは直接関係ないですが。 よく考えてみれば「聖書」というのはまさに規制と自由の絶妙なバランスを 提示しているのではないか、と書いておこう。 一言で言えば、 「神の権威に従順することによって、真に自分らしい自由な人生を送れる」ということですね。 愛なる神に従順することが自由につながるという のは一見矛盾しているように見えるが、真理だと思います。

そしてまた、 従順というのは幸せな結婚生活を送るための秘密でもあります。