反例に関する長男との対話

結城浩

2003年12月23日

長男「お父さん、何かクイズ出して!」

私「じゃあ、素数の話をしよう。「すべての素数は奇数である」これは本当かな?」

長男「違うよ。だって2は素数だけど偶数じゃん。」

私「そうだね。そういうのを反例という。反例。」

長男「はんれい。」

私「counter exampleともいう。」

長男「カウンターエグザンプル。」

私「すべての、という言葉で始まっている主張は、1つでも反例を見つけることができれば、崩すことができる。」

長男「ふうん。他のクイズ!」

私「じゃあねえ。「素数を二つ加えたものは絶対に素数にならない」これは本当かな?」

長男「うーん。奇数足す奇数は偶数だから素数じゃない…あ、違う。2がある。2+3は5で素数だ。」

私「そうだね。2は素数、3も素数、両方を加えた5も素数。だから「素数を二つ加えたものは絶対に素数にならない」は正しくない。2と3という素数の組がcounter exampleだね。」

長男「ふんふん。」

私「じゃあねえ「2と2以外の素数を加えたものは必ず素数になる」というのはどうだろう。」

長男「え?間違いだと思うな。2と3を足すと5、これは素数。2と5を足すと7、あれ?これも素数。2と7を足すと9、これは素数じゃない。これがカウンターエグザンプル。」

私「うん。そうだね。9は素数じゃない。なぜ?」

長男「だって9は3で割り切れるもの。」

私「ふんふん。」