本の執筆にかかる期間

結城浩

2002年5月16日

質問: ある本を書くときの期間は出版社から提示されるのですか?

本の企画、執筆期間、お金の話、仕事の進め方などは、 すべて出版社と著者との交渉ごとですから、 ひとくくりに「こうだ」ということはできません。

結城の場合は、基本的に、執筆期間をたっぷりととってもらいます。 その分だけ、編集者はいろいろと大変な目にあっているはずです(ごめんなさい>編集者さま)。 最初に予定していた本とはまったく違う本が急に盛り上がったり、 まあ、いろいろです。

当然ながら出版社(編集者)との信頼関係がしっかりしていると、 交渉ごとはスムーズに進みます。 それから、実績も大事です。 実績があれば、こちらの要求を聞いてもらえる可能性は高くなります。

どんな場合でも、相手とのコミュニケーションが大事です。 自分がどんな本を出したいのか、どういう風に仕事を進めていきたいのか、 そういう内容をきちんと相手に伝えることができなければなりません。 また同時に、相手が何を考えているかを聞き取ることも必要です。

質問: 本を1冊書き上げるのにかかる期間は?

書こう、と考えてから脱稿するまでの期間は数ヶ月でしょうか。 『Java言語で学ぶデザインパターン入門 マルチスレッド編』は、 昨年の7月から考え始め、今年の2月に脱稿しています(8ヶ月)。 でも9割方はそのうちの2ヶ月くらいで書いています。

以下は、『Java言語で学ぶデザインパターン入門 マルチスレッド編』の作業ログの一部(レビューアに送付した記録)です。 日付けを見ると、執筆スピードがわかると思います。 今回はバレンタインデーに脱稿しています。

  • No.000 2001-09-08 ごあいさつと事務連絡
  • No.001 2001-09-16 目次
  • No.002 2001-09-19 はじめに
  • No.003 2001-09-22 (参考)レビューアから / FileSplitter.pm
  • No.004 2001-09-24 付録:参考文献
  • No.005 2001-10-01 『Java言語のスレッド』(1)
  • No.006 2001-10-01 『Java言語のスレッド』(2)
  • No.007 2001-10-01 『マルチスレッドプログラムの評価基準』
  • No.008 2001-10-05 『Single Threaded Execution』(1)
  • No.009 2001-10-05 『Single Threaded Execution』(2)
  • No.010 2001-10-11 『Immutable』(1)
  • No.011 2001-10-11 『Immutable』(2)
  • No.012 2001-10-12 『Guarded Suspension』(1)
  • No.013 2001-10-12 『Guarded Suspension』(2)
  • No.014 2001-10-16 『Balking』(1)
  • No.015 2001-10-16 『Balking』(2)
  • No.016 2001-10-19 『Producer-Consumer』(1)
  • No.017 2001-10-19 『Producer-Consumer』(2)
  • No.018 2001-10-23 『Read-Write Lock』(1)
  • No.019 2001-10-23 『Read-Write Lock』(2)
  • No.020 2001-10-23 『Thread-Per-Message』(1)
  • No.021 2001-10-23 『Thread-Per-Message』(2)
  • No.022 2001-10-26 本書に登場するパターンの関係図
  • No.023 2001-10-30 『Worker Thread』(1)
  • No.024 2001-10-30 『Worker Thread』(2)
  • No.025 2001-11-02 『Future』(1)
  • No.026 2001-11-02 『Future』(2)
  • No.027 2001-11-05 『Two-Phase Termination』(1)
  • No.028 2001-11-05 『Two-Phase Termination』(2)
  • No.029 2001-11-12 【要返信】名前公開に関する重要なお願い
  • No.030 2001-11-20 『Thread-Specific Storage』(1)
  • No.031 2001-11-20 『Thread-Specific Storage』(2)
  • No.032 2001-11-30 【重要】名前表記の確認
  • No.033 2001-12-20 『Active Object』(1)
  • No.034 2001-12-20 『Active Object』(2)
  • No.035 2002-01-12 【重要】名前表記の確認
  • No.036 2002-01-12 『マルチスレッドプログラミングのパターン・ランゲージ』(1)
  • No.037 2002-01-12 『マルチスレッドプログラミングのパターン・ランゲージ』(2)
  • No.038 2002-01-12 レビューアアンケート
  • No.039 2002-01-17 『付録:Javaのメモリモデル』
  • No.040 2002-01-18 『付録:スレッド関連の主要API』
  • No.041 2002-01-25 (スレッドの状態遷移図)
  • No.042 2002-02-14 原稿送付しました

なお、以下は、昨年上梓した『Java言語で学ぶデザインパターン入門』の作業ログです。 こちらも参考にどうぞ。