お風呂での会話

結城浩

2003年4月29日

今日は天気がよかったので、家族四人で公園を散歩してから、 近所にお昼ご飯を食べに行きました。 公園では、ボールを投げたりキックしたり、 滑り台の上と下でボールをころがしっこしたりして、 クルクルと楽しそうに遊びました。 家内と私は定食を頼み、長男は冷やし中華、次男はサンドイッチを食べました。 デザートに、よく冷えた杏仁豆腐を食べました。 帰ってきてから家内はお昼寝をし、 私と子供たちの三人はレゴのブロックでいろんなものを作って遊びました。

夜はみんなでビデオ屋さんで借りてきた『サウンド・オブ・ミュージック』を観ました。 名作はやはり名作。 字幕スーパーなのだけれど、長男も次男も楽しんでおりました。

家内と次男は先にお風呂に入り、その後私と長男がお風呂に入りました。

私「言葉を使った活動には「読む」「書く」「聞く」「話す」の4つがある」

長男「そうだね」

私「4つ、言ってごらん」

長男「え?「読む」「書く」「聞く」「読む」」

私「「読む」が2回出てきたよ。「読む」と言ったときには読んでいるようすを想像してごらん。「書く」というときには書くようすを…」

長男「「読む」…「書く」…「聞く」…「話す」かな」

私「はい、正解。じゃあこの4つを2つに分類してみよう。どういう分け方がある?」

長男「「読む・書く」と「聞く・話す」だね」

私「それはどういう分け方?」

長男「え?だって反対の言葉を合わせただけなんだけど」

私「「読む・書く」のほうには文字が登場する。「聞く・話す」のほうには文字ではなく声が登場する」

長男「ふむふむ」

私「こういう分け方もあるよ。「読む・聞く」と「書く・話す」に分ける。これはどういう分け方だと思う?」

長男「あのねえ…「読む・聞く」っていうのは、何かこう取り込むって感じ。「書く・話す」のほうは自分からやる、って感じ」

私「そうだね!「読む・聞く」のほうはインプットという。『インプット』」

長男「インプット。インプットってなに?」

私「外から自分の中に取り込むってことだね。逆に「書く・話す」のほうはアウトプットという。『アウトプット』」

長男「アウトプット」

私「こちらは自分から外に出すっていうことだ。ところで、聞くことと話すことはどっちが簡単だと思う?」

長男「それはやっぱり聞くこと?」

私「いや、そうとも限らない。聞くことは意外に難しい。話すことは簡単だ。話すときには自分が考えていることを話せばいい。でも聞くときには相手が言うことを聞かなければならない。相手が難しいことを言い出したら…」

長男「あっ、それは難しくなるね」

私「信仰は聞くことからはじまる、といわれている。自分が話すのではなくまず、神さまの声をよく聞く。聖書の御言葉をよく読んで、神さまの声に耳をすませる。御言葉を自分の中にたくさんインプットしていなければならない」

長男「ふんふん」

私「神さまのこと、イエスさまのことを「主(しゅ)」っていうでしょう?なぜ「主」かというと、神さまが主だからなんだ。神さまが話す。私たちが聞く。そこから信仰が始まる。自分が話してばかりいては聞くことはできない。聞くことはとても大切だ。『信仰は聞くことからはじまる』」

* * *

私「じゃあ、数を数えてから上がろう。0, 1, 10, 11, 100, 101, 110, 111, 1000, 1001, 1010, 1011, 1100, 1101, 1110, 1111, これで0から15!」

長男「それ何?」

私「2進数」

長男「2進数で数えるなあぁ」

私「数えてごらん」

長男「そんなの覚えられないよ」

私「きみは10進数で数えるとき、全部覚えているの?違うよね。0から9までの数字と、位上がりのルールだけを覚えている。2進数でもそれと同じだ」

長男「同じ?」

私「そう。まず10進数で使う数は0から9までの10個だけだ」

長男「うん」

私「で、0から9までいったら、次はもう数がない。だから1の位は0にもどす。その代わり上の位が1に増える。これが10だ」

長男「ふんふん」

私「さらに、10から19までいったら、1の位はまた0にもどす。その代わり上の位はこんどは2になる。これで20」

長男「うん」

私「それを繰り返していけばよい。2進数で使う数は0と1の2個だけだ。そして0から1になったら、次はもう数がない。だから1の位は0にもどし、上の位が1に増える。これが10(イチゼロ)だ」

長男「ふんふん」

私「次は11(イチイチ)になる。次は?」

長男「え?…01かな?」

私「違う。こんどは位上がりが2回連続になる。10進数の99から100になるようなものだ」

長男「うーん。100?」

私「そのとおり。100(イチゼロゼロ)だ。次は101(イチゼロイチ)。その次は?」

長男「110(イチイチゼロ)かな?ややこしいね」

私「その次は111(イチイチイチ)だ。次は?」

長男「1…ゼロがたくさん」

私「1000(イチゼロゼロゼロ)だ。これは10進数でいえば8に相当する量だね」

長男「位上がりがすぐ起こるから大変だよ」

私「そうだね。人間には大変だ。でもコンピュータにはこのほうが楽だ。コンピュータは同じことの繰り返しがとても得意だから。0と1という数のことだけを考えていればいいから、桁数がすごく多くなってもコンピュータには2進数のほうが楽なんだ」

長男「人間は10進数のほうが楽だよ」

私「そうだね。人間は数の種類がある程度あって、桁数が少ないほうが楽だね。2進数は0と1の二つしか数を使わないけれど、その組み合わせで大きな数を表すことができる」

長男「まるでレゴのブロックで大きなものを作るみたいだね」

私「その通り! あなたはとても賢いねえ」