結城浩
2001年11月22日
(以下は、C MAGAZINE 2001年11月号向けに書いた原稿です)
私が普段使っている「開発環境」は次のようなものです。
すべてのプログラム、すべてのドキュメントは秀丸エディタを使って書きます。 秀丸エディタは自分が使いやすいようにキーアサインなどを調整しています。 でもマクロまでは書きません。 複雑な処理をさせたい場合には、 別途Perlでスクリプトを書くようにしています。
Javaの開発環境はJava Development Kit (JDK)を「素」で使っています。 Integrated Development Enviroment(IDE)のような Graphicalな統合環境は使っていません。 また、jdbなどのデバッガも使っていません。 ほとんどのバグはソースと実行結果を見比べることでとっています (これは普段それほど巨大なプログラムを構築していないからかもしれません)。
Perlも同じように、Perlインタプリタを「素」で使っています。 perl -dを使うことはほとんどありません。
プログラミングに関する文章(連載原稿や書籍)を書いているときには、 大量のサンプルプログラムを書きます。 そのときには、 原稿ファイルの中にプログラムをまとめて書いてしまいます。 そして実行テストを行うときにはPerlで書いた自作のスクリプトで 原稿ファイルの中からプログラムを抽出&実行します。 これによって、原稿ファイル中のプログラムが確実に動作することを保証します。
自作のスクリプトは単純なものですが、 単純なだけに何をやっているかを100%把握でき、 また新たな機能が必要になった場合には手軽に追加することができます。 そういう意味で私にとっての開発環境のカスタマイズとは、 自作のスクリプトを書き換えることを意味します。
プログラミングしやすい開発環境というのは ストレスを感じず作業に集中でき、 自動化できるものを極力自動化したものだと思います。 IDEは自動化しにくいので、Perlスクリプトを主に使うことになります。
プログラミングから少し離れますが、 毎日の作業として欠かせないのがWebページのメンテナンスです。 そのときに使っているのもPerlの自作スクリプトです。 私はHTMLを作成するのにMakeWebというスクリプトを使い、 それをサーバに送信するのにUpFtpというスクリプトを使っています。 これらのスクリプトをmakeと組み合わせて使えば、 ストレスが少なく自動化された開発環境が構築できます。