いつもの森だ

結城浩

1999年10月7日

【夢】

いつもの森だ。

森の真ん中は急に開けていて、湖がある。

ほとりには椅子が一つある。

女の子がチェロを抱いて座っている。

淡いピンクのドレスをまとい、目を閉じている。

その子は、口もきけず、目も見えない。

けれどもうなだれてはいない。

顔をまっすぐに湖に向け、弓を構える。

最初の曲は彼女のチェロが響くだけだ。

けれど、二曲目からは、森じゅうの小鳥たちの歌声が加わった大演奏会となる。

気がつくと彼女は涙ぐみながら微笑んでいる。

演奏はいつまでも続く。