ホーム > 文章教室 > 第3回 問題編 | 検索 | 更新情報 |
第3回 解答編 |
|
こんにちは、結城浩です。 文章教室の第3回は、「パラレリズムを使いましょう」がテーマです。
「パラレリズム」というのは聞きなれない単語ですね。 パラレルというのは「平行」あるいは「並行」という意味です。 スキーで、 左右のスキーを平行にしたまま曲がるのを「パラレルターン」と言います。 あの「パラレル」です。 文章のパラレリズムは、 「2つのことを対比(あるいは並置)させて書くときには、文章の形でも対比を表現する」 ということです。
これでは何のことかわからないので、例を示しましょう。
(1) 大切なのは、愛を受けることではない。与える愛が大切だ。
(2) 大切なのは、愛を受けることではない。愛を与えることだ。
(1)も(2)も似たようなことを言っています。 しかし、(1)よりは(2)のほうが主張が明確になっています。 それは「愛を受けること」と「愛を与えること」という2つの対比が明確になっているからです。 これがパラレリズムです。
自然なパラレリズムを使うと、 作者が意図した対比を、効果的に読者に伝えることができます。
もう一組の例を示します。 (3)と(4)とでは、どちらが読みやすいでしょう。
(3) うさぎさんのおみみは、長いおみみ。うさぎさんは、しっぽが丸い。
(4) うさぎさんのおみみは、長いおみみ。うさぎさんのしっぽは、丸いしっぽ。
(3)も(4)も、うさぎさんの「長いおみみ」と「丸いしっぽ」について書いています。 でも、書き方が違いますね。
(3)を見てください。 「うさぎさんのおみみは、長いおみみ」と「丸いしっぽが、うさぎさんのしっぽ」 という2つの文は、形が違います。 ですから「長いおみみ」と「丸いしっぽ」の対比がはっきりしません。
今度は(4)を見てください。 「うさぎさんのおみみは、長いおみみ」と「うさぎさんのしっぽは、丸いしっぽ」 という2つの文は、両方とも「うさぎさんの…は、…」という形になっています。 文の形がそろっているために、文の中で違っている部分がはっきりします。 うまく形をそろえないと、何と何を対比させているのかはっきりしません。
説明文ではパラレリズムがよく登場します。 パラレリズムを使うと、 物事の関係をうまく表現できます。 次の(5)と(6)を比較してみるとわかりますね。 (5)は情報がごちゃごちゃ入り組んでいますが、(6)は情報がきちんと整っています (おっと、この文自体にもパラレリズムが)。
(5) メソッドはクラスの性質を定めますが、フィールドもそうです。 「情報を保存する場所」がフィールドであり、変数のようなものです。 メソッドは関数に相当し、「情報を処理する方法」といえるでしょう。
(6) クラスの性質は、フィールドとメソッドで定まります。 フィールドは「情報を保存する場所」であり、メソッドは「情報を処理する方法」です。 フィールドとメソッドの関係は、変数と関数の関係に似ています。
別の例を示します。もう解説は不要ですね。
(6) この章では、 Webページ生成方法について学び、また、 データファイルを変換する仕方も学びました。
(7) この章では、 Webページを生成する方法と、 データファイルを変換する方法とを学びました。
文章を書くときには、 書き手としてのあなたの意図が、 効果的に読者に伝わるように工夫するのが大切です。 パラレリズムは、対比を効果的に読者に伝える工夫の1つです。
では、 実際に書いてみましょう。
次の文章を自由に書き換えて、読みやすくしてください。
彼は薬品が使用されていた年代を調査したが、 その病院ではガリファイトを1970年からは利用して居たのだが、 1969年まではその病院でボラブドールを利用していた事が彼には別ったが、 彼は更に詳細な調査を緬密に行って、 何が、2つの薬品が切り替わった年に置きたかを調査をする事に彼はした。
2つのものを対比させる文章を書いてください。
「これもまた、私の姿なのだ」という主旨の文で終わる文章を書いてください。