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「数学ガール」シリーズのコミック化で、原作とコミック版の対応表を更新しました。
2011年4月23日には、数学ガールのコミックスが二冊同時刊行されます。
編集部から、コミック版『数学ガール フェルマーの最終定理』店舗購入特典(ミルカさん/テトラちゃんのイラストカード)の情報が来ましたのでご紹介します!
詳しくは以下をご覧下さい。
すでに先日ご紹介した、コミック版『数学ガール ゲーデルの不完全性定理』は以下です。
『数学ガール』シリーズの読者さんから、ご感想をいただきました。 進路を考えている高校三年生のリアル・数学ガールさんですね。 許可を得て公開します。ありがとうございます!
読者さんから
はじめまして、こんにちは。
数ヶ月前に「数学ガール」の漫画版上下巻を購入しまして、 最近、書籍の方も4冊一気に買って、今3冊目を半分くらい読んだところです。
小学生の頃から算数・数学が好きで、大学も数学科に進もうと考えています。 将来的には高校教師を目指しているので、 一時期は教育学部も考えていたのですが、 結城さんの本を読んで、数学の専門分野を学ぶ道に行く覚悟ができ、 志望の学部をはっきりと決めることができました。 今回はそれについてのお礼を申し上げたくメールしました。
数学ガールは、すごく数学要素が強いのに、 他の書籍とは違ってストーリー性も強いので本当に読みやすかったです。
問題が解かれていく途中でものすごくワクワクしながら、 登場人物たちの動きにもハラハラさせられて、 1度も飽きることなくノンストップで3冊近く読んでしまいました。
次も出るのでしょうか? もしそうでしたら、発売日に書店に走ってしまうかもしれません。
近々学校でテーマ研究というものがあり、 テーマは自由なのでこの本を参考に書かせていただこうと思っています。
この本はきっと私の一生のバイブルになると思います。 そのくらいワクワクする本です。
この本に、結城さんに出会えてよかったです。ありがとうございました。
結城から
ご愛読ありがとうございます。
熱いメッセージに、とても励まされました! (^_^)
高校生は進路を考える大切なときですね。
あなたのこれからの人生が祝福と実りに満ちたものとなりますよう、 お祈りしています!
2011年4月23日には、数学ガールのコミックスが二冊同時刊行されます。
編集部から、コミック版『数学ガール ゲーデルの不完全性定理』店舗購入特典(テトラちゃん/ユーリのイラストカード)の情報が来ましたのでご紹介します!
詳しくは以下をご覧下さい。
2011年4月23日には、数学ガールのコミックスが二冊同時刊行されます。
コミック版『数学ガール フェルマーの最終定理』の方の表紙が到着しましたのでご紹介します!
原作とコミック版の関係は以下に整理してあります。
『数学ガール/乱択アルゴリズム』のレビューアをしてくださった赤澤涼さん(レビュー当時 中学3年生)からご感想をいただきました。 (名前を出すことも含めて)許可をいただきましたので、ご紹介します。
赤澤涼さんから
まずはこの度, 『数学ガール / 乱択アルゴリズム』のレビューという実に刺激的な経験をさせていただき, ありがとうございました.
この作品は数学ガールシリーズの中でもやや異色の作品であったと思います.
まずテーマである「乱択アルゴリズム」ですが, 僕自身若干ながらもプログラミングの経験があったので, 言葉と概要は知っているつもりでした. しかし僕の中で, 「プログラミング」という要素と「数学」という要素は1つに結合したものではなく, 独立に建っている建築物でした.
物語を追っていくと, 様々な建築物に出会います. 初等的な確率の問題やパズルを扱ったかと思えば, プログラムの話へ飛び, 気付けば線型代数の舞台が見えてくる.
いずれもそれぞれ興味深い対象ではありますが, 後半へ向かうにしたがいこれらが統一され, 1つの基礎をもった巨大な建造物であったことが分かってきます.
今作では特に, 「数学の抽象度が上がり, 物語の具体度が上がった」と感じています.
この感覚は『数学ガール』シリーズではいつも経験するものです. 『数学ガール』シリーズが巷にあふれる「数学啓蒙書」と一線を画する部分は, 「数学の美しさ」の伝え方にあります.
卑近な言葉でゴテゴテと飾り付けるように数学を形容し, 美しさを表現しているようでできていない書籍や文章をよく見ます. この類の書籍はプロの数学者ではなく, 数学ファンを自称する他分野の専門家が著者であることが多いものです. 数学の美しさは, 数学の中でしか表現できないのです. なぜ, 歴史上多くの人々が数学の虜になったのか, それは数学をしてみないと分からない. この点『数学ガール』では, 登場人物たちがニセモノでない, 本物の, 血の通った, 生々しい数学を実際に体験していきます. そこにリアリティとおもしろさがあります.
各章に配置された様々な要素が, 徐々に絡んで行き, 完全に1つとなっていく感覚が, 登場人物たちと共にリアルに体感できる, そこにこの作品の魅力があるのでしょう.
そして, それは数学の魅力でもあります.
例えば, 数を数えるところから遥か紀元前の人々は「自然数」を発見しました. そしてピタゴラスは自然数の礎となる「素数」を研究しました. さらにアルキメデスが研究した「多角数」に, 「重み」を付けて足しあげてみると18世紀オイラーの研究した級数が現れ, 適切な計算処理を施せば現在も多くの数学者を悩ませ魅了する「ゼータ」が現れます.
そしてゼータと数の拡張「複素数」とを結びつけ, 「複素関数」として認識すると, そこからなぜか「自然数」, ひいてはピタゴラスがイタリアの南岸クロトンで研究した「素数」の情報がぽろぽろと出てくる.
学べば学ぶほど, 「つながり」の感覚が強くなり, ピタゴラスの「万物は数である」という言葉が実感を持ってきます.
中学を卒業する際に, 卒業論文として「リーマン予想」のことをまとめましたが, なんともいえない, 鮮烈な感覚を味わいました.
それは, 18世紀の天才オイラーが, 牧師の道を捨て数学に目覚めたときの感覚と同じなのでしょうか. 『数学ガール』第1巻で度々登場した言葉, ≪数学は、時を越える。≫を思い出します.
大分脱線してしまいましたが, レビューアという仕事を通じ数学への新しい価値観, 考え方を朧げながら獲得できたように感じます. ミルカさんの万能さにも改めて敬服しました. かないません. 御見逸れしました.
この感動と興奮を, 日本中の人に届けるという素晴らしい仕事にほんの少しでも関わらせていただけたことを光栄に思います.
ありがとうございました.
結城から
執筆中にはレビューを送ってくださり、 また今回はご感想をいただき、ありがとうございます。
中学三年生で、数学にこれだけ深い興味を持つ人は少ないと思います。 さらなる活躍を期待いたします。
あなたのこれからの毎日が豊かなもので満たされ、 大きな実を結びますように!
2011年4月23日には、数学ガールのコミックスが二冊同時刊行されます。
コミック版『数学ガール ゲーデルの不完全性定理』の方の表紙が到着しましたのでご紹介します!
原作とコミック版の関係は以下に整理してあります。
コミックアライブ編集部ブログもごらんください。
「フェルマー」の方も、公開できる表紙が到着したらご紹介させていただきます!
先日Twitterで出した数学クイズ。
問題 「任意の正の実数εに対して、実数xの絶対値はεより小さい」と「実数xは0に等しい」とが同値であることを証明せよ。 ※「∀ε>0[|x|<ε]⇔ x=0 を証明せよ」という意味です。
結城はこれをとてもいい問題だと思っています。以下、解答。
解答 ∀ε>0[|x|<ε]⇔ x=0 を証明するには、 (1) ∀ε>0[|x|<ε]→ x=0 (2) ∀ε>0[|x|<ε]← x=0 の両方を証明すればいい。 (1) ∀ε>0[|x|<ε]→ x=0 この命題の対偶、すなわち x≠0 → ∃ε>0[|x|≧ε] を証明する。 x≠0のとき、たとえばε=|x|/2と置く。 すると、ε>0であり、 しかも|x|≧|x|/2=εだから、|x|≧εが成り立つ。 よって、 x≠0 → ∃ε>0[|x|≧ε] が証明された。 (2) ∀ε>0[|x|<ε]← x=0 これは明らか。 したがって、 ∀ε>0[|x|<ε]⇔ x=0 は証明された。
なぜいい問題だと思っているかというと、 xの値が、x=0という一点ではなく、 何となくもう少し広がっても良さそうな気持ちになる人がいるからです。 少しも広がっちゃ駄目なんだよ、というのを確信できるかどうか。
上では対偶を証明しましたが、もちろん背理法を使ってもよいです。
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