削ったり磨いたりしながら本を書く

結城浩

2004年9月9日〜9月30日

目次

2004年9月9日 11時 - 書こうとせず、読もうとしよう

本を書いている。 [ki]の章。

長い文章を書くときのコツは「書かなくてもいいんだよ。読むだけでいいからね」と自分に言い聞かせて読み始めること。 読み始めると、自然にどこを書けばいいか、どこを修正すればよいかがわかってくるから。 …というような話は何度も書いているよなあ。

2004年9月28日 11時 - 書く粒度

本を書いている。今日は[ki]の章を読み返して、前半部分が固まったところ(たぶん)。

最初にどのくらい細かく注意して書くかの按配は重要だけれど、難しい。 アバウトに書き飛ばすと、書いていてだんだん重たくなる。どこかに何かを残してきたような気分が累積してくる。 だから、読み返す。読み返して細かいところを直していく。 細かいところを直して固まってくると、それを土台として自然な次の一歩を踏み出せる。 でも、あまり読み返しばかりしていると先に進まないからいやになってくる。 難しい。などとうだうだいいながら、無理やり先に進むのである。 うう。

2004年9月29日 11時 - すべてを書かない

本を書いている。今日も[ki]の章を書き進める。 残り2つのトピックを書けば、この章も終わる(と思う)。

いまのところ「書きすぎ」ている部分がかなりあるので、少し削るべき。 自分が知っているからといって、それをすべて書いてはいけない。 何かを書くのは、意図があってのこと。 知っていること、関係があることを全部突っ込んでしまったら、混乱状態になってしまうだろう。 もっと磨こう。何とか来週には次の章に入りたいものだ。

2004年9月30日 10時 - 一勝一敗

今日も本を書いている。[ki]の章の続き。

昨日からもたもたしていた部分が気になっていたが、 道を歩いているうちにもっとずっとシンプルに書くべきだと気づいた。 再構成したあと参考書で確認したらそれで正しいことが判明。 書いた分を読み返して細かく手直しをした。 とてもよくなった。やっぱりきちんと削って磨くと気分がよい。

さて、気分をよくして、次の節に進む。 この節が、この章のクライマックスになるはず。 でも、うまくいかない。 予想していたよりもすっきり表現できないし、そもそもここでそれを書くメリットがあまり見えてこない。 うーん、この節は捨てるか。迷うなあ。捨てても章としての体裁は整う。 当初の予定とは違う方向で現在まとまっているようでもあるし。 うーん、どうしよう。迷う。いちおう走り書きで残しておく。 よいまとめ方のアイディアが見つからなかったら捨てることにする。

ここまでの範囲では「一勝一敗」という感じか。今日は木曜日だよねえ。 うーん、今週中にこの章をまとめてしまいたいなあ…。

2004年9月30日 23時 - 夜に仕事

奥さんが微熱なので、お惣菜を買って帰宅。

夕食後、食器の後片付けをする。 奥さんと子供が寝静まってから、ダイニングテーブルをきれいに拭き、ノートパソコンを広げる。 テーブルの上にはパソコンだけを置く。

PDF化した原稿を読む。 ひっかかるところが見つかったら、原稿を修正する。 もう一度PDFに変換し、最初から読み直す。 ひっかかるところがまた見つかったら、原稿を修正する。…というのをえんえんと繰り返す。 飽きてきたら、図を描く。夜は図を描くのによい時間。 また飽きてきたら、リビングで軽くストレッチをする。数分。 それからまた原稿を読む。何度も繰り返す。

だいぶ整ってきた。 でも、[ki]の章のクライマックスの節はまだ解決していない。 明日のチャレンジということにしよう。 もしもまとまらなかったら、保留にして次の章にすすもう。

※このとき書いていた本は、2005年に 『プログラマの数学』という形で出版されました。