情報交換会

結城浩

2002年9月27日

昨晩は、編集長さんたちと情報交換会+食事会。 いつか書こうと思っている本の目次(章立て)を用意して、 編集長さんたちの意見を聞く。 きちんと聞いてくださる方を前にして、 自分のやりたいことを話すのはとてもよい経験になる。 話しているうちに、自分のやりたいことが明確になるし、 それまで思いつかなかった可能性が見つかったりするからだ。

検討すべき部分としては「対象読者をどこまで広げるか」と「本のタイトル」のあたり。

いま思い返すと、 思い上がって生意気なことをしゃべったような記憶もありますが(あー恥ずかし)、 熱心に、しかも敬意をもって聞いてくださり、ありがとうございます。

食事会の中でうかがったお話では、 「編集者は外に出ていこう」というのが興味深かったですね。 編集者だからといって机に向かってばかりいるのではなく、 学会やコミュニティにでかけていき、現場の動向を探り、 自分の企画にフィットしそうな著者を熱心に探していくべき、 という話。 編集者は優秀な著者を真剣に探し、著者は優秀な編集者を真剣に探す。

そういえば。 現在たいそうお世話になっている編集長さんは、 私がまだ一冊も本を書いていない時代から、 私をきちんとした一人の著者として遇してくださった。 まだ海のものとも山のものともわからない私の意見をきちんと聞いてくださり、 どういう本にしていきたいかという私の意見を敬意をもって(けれどももちろん盲目的にではなく)扱ってくださった。 そのことに、とても感謝するとともに、自分もそのように他の人に接していきたいと思う。 特に、自分よりも若い人に対して、敬意をもって接することを忘れてはならない、と思う。

聖書に書いてある通りだ。

兄弟愛をもって心から互いに愛し合い、 尊敬をもって互いに人を自分よりまさっていると思いなさい。

(ローマ人への手紙 12章10節)

食事会の日はいつも夜遅くなるのだけれど、 家内はそれについて文句をいったことがない。 それどころか、次の日の朝「いったいどんな話をしてきたの?」と嬉しそうに聞いてくる。 よくできた奥さんだなあ、と思う。 しかも、私の話を聞き流すのではなく、ときおり鋭いコメントを付けたりする。 私が見逃している何か大きなものが、彼女には見えているのかもしれない。

さて、神さまに感謝しつつ、 今日も今日の仕事を淡々と進めていきましょう。