わたしは、ぜんぜん変わってない

結城浩

2002年1月26日

先日の日記は、不思議なほどに、いろんな人から反響があった。 あの日記は、自動書記のように、勝手に手がタイプを打つままにまかせ、 校正もせずにftpしてしまったものなのだが。 まあ、でも、反応があるのはとてもうれしいものですね。

奥さんに「ねえ、この日記を読んで」と言う。 奥さんは「ええ、いいわよ」と言って、自分のパソコンでwww.hyuki.comにアクセスする。 奥さんが私の日記を読んでいる間、私は自分の仕事をあれこれ進める。 ふと気がつくと、奥さんは涙を流していて、私はびっくりする。

「どうしたの。これ、泣く日記じゃないと思うんだけど」

「…そうなの?…何だか心をゆさぶるような文章じゃないかと思うんだけど…泣いちゃだめ?」

「いや、別に」

「無防備に、自分をさらけだしてるじゃない。弱いところも、全部。だから共感してしまうのよ。 …仕事ができるだの、幸せな家庭だの、そういうのじゃないのよ。大事なことは」

「ふうん」

「そうねえ…。 ここにも書いてあるけれど、 あなたは、結婚してからずいぶん変わったようでもあり、 ぜんぜん変わってないようでもあるわねえ。 でも、わたしは、ぜんぜん変わってない。進歩がないのね」

「そんなことないよ。あなたも、わたしも同じ。変わったところもあり、変わらないところもある。 きっと、みんな、そうなんだよ。悩んだり、失敗したり、有頂天になったり。人生、いろんなことがある。 いろんなところを通っていくんだよ。きっと。みんな。そうなんだ」