考えては書き、書いては考える

結城浩

2002年10月2日

新しい本の章立てを考えている。 目次を作って編集長さんに見てもらったり、 筆慣らしに一章書いてみたり、 前書きを書いたり、参考書を読んでメモを取ったり。 楽しい。 でもまだ、ちゃんと「つかんで」いないような気がする。

適当な章をピックアップして、 思いつくまま書き進める。 まずはどんどん書いてみて、そのあとで順序を入れ替えたり、見出しをつけてみたりする。 そうこうしているうちに、章内の構成がだんだん整ってくる。 すでに書きすぎているので、あちこち削除して刈り込み。 1つの章をだいたい20KBから30KBくらい収めるのが私の目安。 雑誌の連載原稿一回分とだいたい同じ。

章内の構成を考えているうちに、 どういうところに「遊び」や「お楽しみ」を入れて、 どういうところで「シメる」かの具合もだんだんわかってくる。 いったん自分の知識を忘れて、 何も知らない読者の気持ちになってみたりもする。 女性が外出する前に何度も何度も鏡の前で(つまり他の人の目になって)服装をチェックするように、 文章構成の具合を読者の目になってチェックする。

自分の知っていることを、 ていねいに読者に伝えるように努力する。 言葉を使ってきちんと説明しようとすると、 自分が何を理解していて何を理解していないかがはっきりしてくる。 (逆説的だけれど)言葉で嘘はつけない。

じっくり調べ物をしていると、 参考書の間違いをときどき見つける。 昨日も1つ見つけたので、 errataにないことを確認してから著者にメール。

考えては書き、書いては考える。 こういうのをいろいろとやっていると、 頭のさまざまな部位を動かしているようで、 とても楽しくなり、やめられなくなる。