結城浩
2002年6月3日
いま我が家では「マイク・ワゾウスキ」が流行っている。 相手をハグしながら「マイク・ワゾウスキ!」とたどたどしい言葉で宣言するものだ。 相手にハグしてもらいたいときには「マイク・ワゾウスキして!」とお願いする。
出典はディズニーの映画『モンスターズ・インク』の一シーンだ。 小さな女の子「ブー」が、常時躁状態饒舌単眼モンスター「マイク・ワゾウスキ」をハグして 「マイク・ワゾウスキ!」と言う。それまで懐疑的で批判的だったマイクがほろりとするシーン。
家族の四人がいろんな組み合わせで「マイク・ワゾウスキ」している。 平和なひととき。
ところで次男はひどく後追いをする。 私が仕事をしに外に出ようとすると、次男は背中にミニリュックを背負い、 お気に入りのカードやガチャポンを入れた虫かごを片手に、シューズをはき、 「準備万端お出かけスタイル」で玄関に立つ。 私といっしょに「お出かけ」できると堅く信じているのだ。
私が「マイク・ワゾウスキ」をしてあげて、お留守番するんだよ、というと、 次男は口をヘの字にゆがめ、大粒の涙を浮かべて「おるちゅばん、ちない」と訴える。 親としてはほろっとくるけれど、家内が「ビスケットあるわよ」と言ったとたん、 次男はくるりと振り向いて、さっさと靴を脱ぎ、台所に向かい始める。 おいおい、さっきの涙はいったい何、と、私は苦笑しながら外に出る。
角を曲がろうとしたとき、 リビングの窓から追いかけるように飛んでくる「おとうさーん、いってらっちゃーい」の声。