結城浩
2003年6月24日
悩みごとって、各人で共通な部分がとても多いのだけれど、十把ひとからげに扱えない、という性質を持っている。 人の話を聞いたり、人の悩みごとを聞いたりするときには、 「いま聞いているこの人の話は、誰にでも起こりうることであるが、この人に特別のことでもある」という態度で聞くのがよい。 (ああ、うまく表現できないけれど、読んでいる人に正しく伝わっているだろうか) 「普遍性」と「一回性」の両方をフルにつかまえつつ、聞くのがよい。 「いかにもありがちな話だ」と思うと同時に「スペシャルな話、いままで聞いたことがない話だ」と思いながら聞く。 「この間も聞いた話だな」と思いながらも「今日はこの話をはじめて聞く」という態度で聞く。 セオリーどおりに対処しながらも、マニュアルに陥らないようにする。 機械的に聞きながら、人間的に聞く。 そういう完全に矛盾した状態を同時に抱えつつ、 話を聞くととてもよい、 と私は経験的に感じているのだが、 それを人に伝えるのはとても難しい。 まあそれに、そういうのは私の個人的で人間的な知恵に過ぎないような気もする。