虹の発見

結城浩

2003年1月10日

家内が用事があるというので、 午前中は、次男をデパートに連れていって子守りをする。 マックを食べて、デパートの屋上でトーマスに乗せる。

午後は黙々と仕事。

ある方が、私の本を「良質のミステリを読んだような」と評してくださったことがある。 技術書でミステリというのはまずい気もしないでもないですが(^_^; 問題解決のカタルシスにつながる何かがあったのだろうと素直にうれしくなりました。 感謝です。

暗号本を書きはじめて、しばらくしてから、あるテーマに気がついた。 そのテーマは専門家には当然のことなのだろうけれど、 私は暗号について詳しく考えはじめるまでは気がつかなかったことだ。 これに気づいたとき、私はちょっと感動したのを覚えている。 バラバラのように見える技術が、こんな風につながるとは。 いま書いている章から、 そのテーマが少しずつ顔を出してくる。 だから、書いていてとっても楽しい。心が躍る。

どんなささやかな仕事であっても、 ある期間それにどっぷり使って頭を絞っていると、 何かしら「はっとする発見」があるものだ、と私は思っている。

何かをつかむ瞬間。カタンと音を立てて扉が開く瞬間。 ふと見上げた空に虹がかかっていたのに気がついたときのような、そんな瞬間のことだ。 そんなとき、その発見のことを「愛する人たちにうまく伝えたい」と感じるのは、 とても自然なことではないだろうか。 たとえ、その虹を作ったのが自分ではないとしても。

ほら、虹だよ!