結城浩
2000年2月29日
あいづちの打ち方は難しいという話。
「AってBだよね」と言われたとき、自分がその事実をすでに知っていたときになんと答えるか。
(1)の場合、イントネーションに気をつけないと「私は何でも知っている。 もちろんあなたがいま言った『AはB』ということだって知っている。 そんなことも知らないと思っているのかい。失礼な話だ」という意味に聞こえるあいづちになる場合がある。
(2)の場合は比較的(1)よりは危険性は少ない(ように思う)。
実際に「自分は何でも知っている」とか「相手になめられてなるものか」いう意識でいると、 ついつい(1)のような受け答えが多くなる。 でもそれは結構「損」である。
通常、何か情報がやってくるときには「既知の情報」と「未知の情報」が順番にやってくるものだ。 最初「既知の情報」が来たときに「そうだよ(そんなことは知っているよ)」と答えると、 話し手は「あ、そうかい。じゃあこの話はもういいね」という気持ちになって、 有益な「未知の情報」が失われてしまうことがある(そういう体験をした方は多いのでは?)。 突っ張らないで、情報の受け入れチャンネルを切断しない力も、 コミュニケーションでは大事なことである。
突っ張った話し手よりは、懐の深い聞き手の方が、信頼されることが多い。