結城浩
2000年8月27日
たかがプログラミング言語の入門書一冊なのに、どうしてこんなに書くのが大変なのか、 どうしてこんなに時間と手間がかかるのか、と思うこともある(ずぇんずぇん「たかが」じゃないのですが、とほほ)。 その一方で、すでに出版した本の読者から感想メールなどいただくと本当に「書いてよかったなあ」とも思う。 C言語の本を出したときも、CGIの本を出したときも、Java言語の本を出したときも、 すでに世の中にはたくさんの同種の本が出ていたのだ。 元気がないときや、うまく書けないときには、 「すでに似たような本がたくさん出てるじゃないか。 あんたが本を書く意味なんかないんだよ」 という声がささやく。 こういう声の特徴は、真実の中にほんのちょっぴり嘘をまぜていることだ。 確かに、その分野で本はすでにたくさん出ている。 しかし、わたしが本を書く意味はあるのだ。 他の本ではあまりピンとこないけれど、 私の本ではピンとくるという方もいる。 私の書いたちょっとした一言が、 独学でプログラミングを勉強している誰かの何かを助けるかもしれない (ちょうど、レビューアのちょっとした一言が、私をおおいに助けているように)。 それに、何より、私自身が本を書くことによって大きな喜びを得ているのだ。 だから、マイナスの方向に引き下げようとするささやき声はけとばして (必要ならばイエスさまの御名の権威によって追い出して)、 祈りつつ、神さまに感謝しつつ、なすべきことをなしていこう。 おごらず、いじけず、淡々と、書いていこう。