結城浩
2003年7月27日
お風呂で長男と会話。
私「熱気球っていうものがある」
長男「あ、知ってる」
私「大きな風船の下に、人が乗れるかごのようなものをつけて、そこで火をたく。すると風船の中の空気が温まって、風船が浮かぶ」
長男「そうだね」
私「ところで、どうして空気が温まると浮かぶんだろう」
長男「温度?」
私「それは説明になっていないね」
長男「よくわからない」
私「ええとね。空気を「温める」というのと風船が「浮かぶ」の間にあるのはどんな言葉だろう」
長男「熱気球?」
私「それは説明ではないね」
長男「よくわからない」
私「じゃあ、ヒント。どうなったら「浮かぶ」んだと思う?」
長男「わかった!「軽くなる」だ」
私「その通り。「温める」と「浮かぶ」の間にあるのは「軽くなる」でした。空気を温めると軽くなる。軽くなると浮かぶ」
長男「ふうん」
○ ○ ○
私「では、ちょっと話を変えよう。ゴム風船の中に温かいお湯を入れて、水の中に入れると…」
長男「あ、わかるよ。浮かぶんだね」
私「そうだね。ところで、どうして温かいお湯は浮かぶんだろう。「温かい」と「浮かぶ」の間にある言葉は何だろう」
長男「わかんない。熱?」
私「ヒント。どうなったら「浮かぶ」んだと思う?」
長男「うーん…」
私「さっきと同じことを聞いているんだよ」
長男「あ、そうか「軽い」と浮かぶんだ」
私「その通り。お湯は「温かい」から「軽い」。「軽い」から「浮かぶ」」
○ ○ ○
私「では、ちょっと話を変えよう。ゴム風船の中に冷たい水を入れて、お湯の中に入れると…」
長男「今度は沈むね」
私「どうして水は沈むんだろう。「冷たい」と「沈む」の間にある言葉は何だろう」
長男「さっきの逆だよ!「重い」だ」
私「そのとおり。「冷たい」水は「重い」。「重い」から「沈む」」
○ ○ ○
私「また話を変えるよ。風船が浮かぶのは軽いからだ、という話をしたね」
長男「うん」
私「熱気球は、空気を温めて軽くしていたんだ」
長男「そうだね」
私「でも、空気を温めなくても、最初から軽いガスを入れても気球ができる」
長男「あ、知っているよ。うーんとねヘリウムとか」
私「そうそう。よく知っているね。軽い気体としては、水素やヘリウムなどがあるね」
長男「水素はだめなんでしょ。ドイツの飛行船が事故を起こした…」
私「そう、ツェッペリンが爆発したんだ」
長男「水素は急激な化学反応を起こすからだよね」
私「そうだよ。じゃあここで話を整理しよう。ものが浮かぶのは軽いからだ。温めて軽くしてもいいし、最初から軽い気体を使ってもいい。また、水よりもお湯は軽いから浮かぶ」
長男「ふんふん」
私「水の上に油を入れると浮かぶけれど、あれはなぜだろう」
長男「油が軽いからだね」
私「そう。では油の中に水を入れるとどうなるだろう」
長男「沈むんだね、きっと」
私「きっとそうだね」