まどが、めえめえさんとでんしゃにのるおはなし

結城浩

むかしむかし、あるところに、まどというなまえの
しろい うさぎがおりました。
まどが あるいていると、むこうから やぎのめえめえさんがきました。
まどは こういいました。
「ねえ、めえめえさん。あそびに いきましょうか」
「いいですよ。めえめえ」

まどは、えきで ふたりぶんのきっぷをかうと、
めえめえさんといっしょに でんしゃにのりました。

めえめえさんはまどにいいました。
「ねえ、まどさんや。てにもっているものはなに」

まどは、
「これはきっぷですよ。これは、でんしゃにのってもいいですよ、
 というしるしなんです。きっぷをかわないと、でんしゃにはのれないんです」
といって、きっぷをみせました。

めえめえさんの め が、きらり、とひかりました。
「きっぷ、おいしそうですなあ」とめえめえさんがいいました。

まどはあわてて、
「だめだよ、めえめえさん。
 きっぷをたべちゃ、でんしゃにのっていられなくなる」
といって、きっぷをうしろにかくしました。

でも、めえめえさんは
「きっぷ、おいしそうですなあ」
といって、まどにちかづいてきました。

まどは
「だめだよ、めえめえさん」
といって、たちました。

めえめえさんは
「きっぷ、おいしそうですなあ」
といって、たちました。

まどは
「だめだよ、めえめえさん」
といって、でんしゃのはじからはじまでにげました。

めえめえさんは
「きっぷ、おいしそうですなあ」
といって、でんしゃのはじからはじまでおいかけました。

めえめえさんが、まどの て から きっぷをとろうとしたときです。うしろから、
「おやすみのところ、まことにおそれいりますが、
 きっぷをはいけんいたします」
というこえがしました。
そして、しゃしょうさんは まどの て から きっぷをとって、
ぱちん、ぱちん、ときりました。

めえめえさんはそれをみて、とってもかなしいかおをしました。
「きっぷ、もうおいしそうでないですなあ」
といいました。

(おしまい)

最終更新: 1999年1月6日

豊かな人生のための四つの法則