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このページでは、結城の校正の一部を紹介します。 誤字・脱字の校正は含まれていません。また技術的な内容の校正も含まれていません。 日本語の文章としておかしな例をあげています。 お時間のある人は、結城の「修正後」を読む前に自分で修正してみてください。
修正前 | ゼロからCGIを作るのは難しいものですが、すでに動いているものを修正するのは比較的楽なものです。 |
修正後 | ゼロからCGIを作るのは難しいですが、すでに動いているCGIを修正するのは比較的やさしいものです。 |
解説 | 「もの」が重なっている。一つ目の「もの」は削除し、二つ目は具体的に「CGI」とした。 |
修正前 | ここでは、<COUNTER>のようにHTMLのタグのような形にしました。その必要はまったくありません。 普通の文章中に登場することのない文字列ならば、何でもいいのです。 |
修正後 | ここでは、<COUNTER>としましたが、普通の文章中に登場することのない文字列ならば、何でもいいのです。 |
解説 | 「…のように」と「…のような」が重なっているのを修正した。 |
修正前 | これで、カウンタファイルの内容は、表2-1のデータ形式が保たれて内容が更新されたことになります。 |
修正後 | これで、カウンタファイルの内容は更新されました。しかも、表2-1のデータ形式はきちんと保たれています。 |
解説 | 「内容」が重なっているのを修正した。 |
修正前 | 元のファイルcgicount.cgiはそのままにしておき、それをコピーして別のファイルを作り、それを変更することにしましょう。 |
修正後 | 元のファイルcgicount.cgiはそのままにしておき、それをコピーして作った別のファイルを変更することにしましょう。 |
解説 | 「それ」が重なっているのを修正した。 |
修正前 | ここで使った技法を使って、他にどんなことができるのか、一緒に考えてみることにいたしましょう。 |
修正後 | クッキーを使って、他にどんなことができるのか、一緒に考えてみましょう。 |
解説 | 「使った」技法を「使って」という重なりを整理した。 |
修正前 | 例えば、いま上記の文を10回実行してみます。すると、その結果$xの値は例えば次のように変化します。 |
修正後 | 例えば、いま上記の文を10回実行してみると、変数$xの値は次のように変化しました。 |
解説 | 「例えば」が重なっているのを修正した。 |
修正前 | ここに並べた色の中から1つランダム(でたらめ)に1個選ばれて、その色がユーザの名前の色となります。 |
修正後 | ここに並べた色の中からランダム(でたらめ)に1個選ばれて、その色がユーザの名前の色となります。 |
解説 | 「1つ」と「1個」の重なりを整理した。「色」が重なるのも少し気になる。 |
修正前 | あとは、データベースや表計算ソフトごとのCSV形式のデータファイルを取り込む方法を使って取り込みます。 |
修正後 | あとは、データベースや表計算ソフトからCSV形式のデータファイルとして取り込みます。 |
解説 | 「取り込む方法」と「取り込みます」の重なりを整理した。 |
修正前 | 人について知りたい人はゲストブックの方を見てください。 |
修正後 | 人名を検索したい方はゲストブックを見てください。 |
解説 | 「人」について知りたい「人」という部分を修正した。 |
修正前 | 文字列$passwordを文字列$saltを使って暗号化した結果を$encpassに代入します。 |
修正後 | 文字列$passwordを文字列$saltで暗号化し、その結果を$encpassに代入します。 |
解説 | 「を」が重なっているのを修正した。 |
修正前 | こういうときに使うのが剰余演算子%です。 剰余演算子というと難しそうですが、要するに割り算の「余り」を得る計算のことです。 |
修正後 | こういうときに使うのが剰余演算子%です。 剰余演算子というと難しそうですが、要するに割り算の「余り」を計算する演算子のことです。 |
解説 | 「剰余演算子」が「計算」のことです、というのは呼応していないので修正。 |
修正前 | 変数$dispname_tagには、名前($dispname)とメール($dispmail)を合わせたタグを作ります。 |
修正後 | 名前($dispname)とメール($dispmail)を合わせたタグを作って変数$dispname_tagに代入します。 |
解説 | 「変数には…作ります」という部分が呼応していないので修正。 |
修正前 | 回答結果を見せるかどうかをパスワードで守ることができます。 |
修正後 | 回答結果はパスワードを入れないと見ることができません。 |
解説 | 「見せるかどうか」を「守る」というのがわかりにくいので修正。 |
修正前 | 次の章では、パスワードによるアクセス制限を作ってみましょう。 |
修正後 | 次の章では、「パスワードによるアクセス制限」を行うCGIを作ってみましょう。 |
解説 | 「アクセス制限」を作るのではなく「CGI」を作るのである。 |
修正前 | 変数$maxlinkは、表示される最大のリンクの数です。もし0にしたら無制限になります。 |
修正後 | 変数$maxlinkの値を0にすると、表示されるリンクの数は無制限になります。 |
解説 | 何を0にするのか不明なので修正。 |
修正前 | これは、私書箱一覧を表示するから行っている処理です。 |
修正後 | これは、私書箱一覧を表示するために行っている処理です。 |
解説 | 「表示するから行なっている」がおかしい文章。 |
修正前 | 設問ファイルを元にページを自動生成し、 また収集したデータをテーブルやCSVで表示する方法について学びました。 |
修正後 | 設問ファイルを元にページを自動生成する方法や、 収集したデータをテーブルやCSVで表示する方法について学びました。 |
解説 | 2つの「方法」を学んだことがよくわかるように修正。 |
修正前 | ここでは、集めた情報をブラウザで見たり、 またデータベースや表計算ソフトへ取り込む方法について考えます。 |
修正後 | ここでは、集めた情報をブラウザで見る方法や、 データベースや表計算ソフトへ取り込む方法について考えます。 |
解説 | 「…見たり、…取り込む」という部分がおかしいので修正。 |
修正前 | サーバ上のデータファイル中には、ユーザが入力したパスワードおよびマスターパスワードは、 すべて暗号化されて記録されます。 |
修正後 | ユーザが入力したパスワードおよびマスターパスワードはすべて、 暗号化されてからデータファイルに記録されます。 |
修正前 | 以上でテーブルは終わりで、またフォームも終わりになります。 |
修正後 | 以上でテーブルとフォームが終わりになります。 |
修正前 | …修正や削除することはできません。もしもやりたければ、管理者にお願いして… |
修正後 | …修正や削除することはできません。どうしても、というなら、管理者にお願いして… |
修正前 | あなたはアンケートを運営し、50人の人々から回答があったとします。 |
修正後 | あなたがCGIを使ってアンケートを実施し、50人の人々から回答があったとしましょう。 |
修正前 | 検索処理は専用のプログラムを使い、Perlのスクリプトはそれへの橋渡しを行う方がいいです。 |
修正後 | 検索処理は専用のプログラムにまかせ、Perlのスクリプトはそれへの橋渡しとして利用する方がいいです。 |
修正前 | 登録用のフォームとリンク集を別のページにしてもいいのです。 登録用のフォームは固定した内容ですから、CGIで出さなくてもいいです。 HTMLファイルを1つ用意すればいいですね。 |
修正後 | 登録用のフォームとリンク集を別のページにすることもできます。 登録用のフォームは固定した内容ですから、1つのHTMLファイルにしてしまうこともできます。 |
修正前 | プログラムは複雑に見えます(そして実際に複雑なのです)が、 要するにそういう細かな動作の制御の積み重ねなのです。 |
修正後 | 複雑に見えるプログラムも、単純な処理の積み重ねからできています。 |
修正前 | この掲示板では、個々の記事はファイル上で1行で管理され、1つの記事の情報はコンマで分割されています。 ささやかながら、これはファイル上でどのようにデータが表現される形式かを決めていることになります。 |
修正後 | この掲示板では、1つの記事はコンマで区切られた1行としてファイルに保存されています。 これが掲示板の「データ形式」というわけです。 |
修正前 | まず、Content-typeの出力から始まり、HTMLのはじめの部分の出力は以下のようになります。 |
修正後 | Content-type、空行、そしてHTMLのはじめの部分は、以下のようにして出力されます。 |
修正前 | 演算子.=(ドットイコール)は単なる代入ではありません。 これは、文字列の最後への文字列追加を行う代入です。 |
修正後 | 演算子.=(ドットイコール)は代入を行うものではありません。 この演算子は文字列を最後に追加するという処理を行います。 |
修正前 | …という形で呼び出すと、この関数の戻り値は配列となり、 それは「区切り文字列」を使って「長い文字列」で区切ったものとなります。 |
修正後 | …という形で呼び出すと、 この関数の戻り値は「長い文字列」を「区切り文字列」で区切った配列になります。 |
修正前 | 検索対象ディレクトリ以外にあるファイルを1つだけ検索対象に含めたい… |
修正後 | 検索対象ディレクトリにないファイルを1つだけ検索対象に含めたい… |
修正前 | HTMLファイルは自分のパソコンで作りますから、そこにファイルが残る可能性があるわけですが、 掲示板の書き込みはサーバ上に作られていきますから、FTPで定期的にgetしておくのがよいかもしれません。 |
修正後 | HTMLファイルはまず自分のパソコンで作ってからサーバに転送しますから、 パソコン上に元のファイルは残っているわけです。 しかし、掲示板の書き込みは最初からサーバ上に作られますから、 FTPで定期的にgetしておくのがよいでしょう。 |
修正前 | これは、たとえ<TITLE></TITLE>の中に改行が含まれていても、 正しくタイトルが取得できるようにするため、また後ほど正しくHTMLタグを除去できるようにするためです。 |
修正後 | この変換には2つ目的があります。 1つは<TITLE></TITLE>中に改行が含まれていても正しくタイトルを取得するためで、 もう1つは、Perlのパターンマッチ機能で正しくHTMLタグを除去するためです。 |
修正前 | 第1章では、CGIを始める前、またCGIを作成・公開する手順を解説しています。 |
修正後 | 第1章では、CGIを始める前に確認すべきこと、またCGIを作成・公開する手順を解説しています。 |
修正前 | 検索を実行するためには、ファイルからメモリ上に読み込む必要があります。 |
修正後 | 検索を実行するには、ページの内容をファイルからメモリに読み込んでくる必要があります。 |
解説 | 「何を」読み込むのかが欠けている。 |
修正前 | したがって、機密性の高い情報を守るには適しません。 |
修正後 | したがって、いずれの方法も、機密性の高い情報を守るには適しません。 |
解説 | 「何が」適さないのかが欠けている。 |
修正前 | JavaScriptを使うと、通常のHTMLではできないような処理を行わせることができます。 |
修正後 | JavaScriptを使うと、通常のHTMLではできないような処理をブラウザに行わせることができます。 |
解説 | 「何に」行なわせるのかが欠けている。 |
さらに 「正確でわかりやすい文章」を書きたい方は、 結城浩の 『数学文章作法 基礎編』をごらんください。