結城浩
2001年9月4日
本を書くのって、何でこんなに大変なのだろう。
自分が理解していることを、 言葉にするだけなのに、どうしてこんなに難しいんだろう。
きっと、よく理解していないんだな。 理解していると思っているだけなんだ。 もちろん、一通りは理解しているさ。 さもなくば面白さもわからないし、そもそも本を書きたいなどとは思わない。 でも、本を丁寧に書いているうちに、自分の理解が不足していることを痛いほど感じる。 適切な例が見つからない、というのは本質を理解していないからだ。
先日も書いたけれど「ポケットからふと取り出したようにさりげなく」って本当に難しい。 こういう話を書いているとき、私はいつも、 冬季オリンピックのフィギュアスケート(特にペア)を思い出す。 らくらくと、楽しそうに滑っている。 当然のように、まるで通り道が用意されているかのように滑っている。 靴に転ばないしかけがしてあるように。 不遜ながら、本を書くというのもそれに似ている(もしかしたらすべての表現活動はそうかな)。 本になった後は、ふんふんと読めばいいし、 そこに書かれた言葉を使っているのが当たり前のように感じる。 でもそれをゼロから(イチから、かな?)組み立てるのはえらく大変。 読む側と書く側ではこんなにも違うかと思ってしまう。
料理もそうだな。 フランス料理を作るのと、それを食べるのはずいぶん違う。 …まあいいや。もともと、誰からも強制されてるわけじゃなく、好きでやってる仕事なんだから、 ぶうぶう文句(?)を言うのは筋違いってもんだ。仕事仕事っと。